名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

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本日のつれづれ no.489 〜渡辺京二『逝きし世の面影』第7章 -自由と身分-②〜

2017.08.01  【498日連続投稿】

 

 大名行列の前に平伏する庶民を見ればわかるように、世襲貴族と一般大衆のあいだには越えがたいへだたりがある。「だが、ほかならぬこの理由があるのかも知れない」とオールコックは考える。ヨーロッパの封建時代でも、人民が服従したのは、王や貴族の暴力が彼らまで到達するのがまれだったからだ。嵐が高い木を痛めつける場合でも、ずっと下の灌木は無事なことが多い。日本でもそういう事情は同一だろう。「外見的な服従は皮ひとえのものにすぎないのかも知れず、形式的外見には一般民衆の自由があって民主的な制度をより多くもっている多くの国々以上に、日本の町や田舎の労働者は多くの自由をもち、個人的に不法な仕打ちをうけることがなく、この国の主権をにぎる人々によってことごとに干渉する立法を押しつけられることもすくないのかも知れない。

 

渡辺京二『逝きし世の面影』p.263

 

おわり。