名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

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本日のつれづれ no.512 〜渡辺京二『逝きし世の面影』第10章-子どもの楽園-①〜

2017.08.25  【522日連続投稿】

 

 日本について「子どもの楽園」という表現を最初に用いたのはオールコックである。彼は初めて長崎に上陸したとき、「いたるところで、半身または全身はだかの子供の群れが、つまらぬことで騒いでいるのに出くわ」してそう感じたのだが、この表現はこののち欧米人来訪者の愛用するところとなった。

 事実、日本の市街は子どもであふれていた。スエンソンによれば、日本の子どもは「少し大きくなると外へ出され、遊び友達にまじって朝から晩まで通りで転げまわっている」のだった。1873年から85年までいわゆるお傭い外国人として在日したネットーは、ワーグナーとの著書『日本のユーモア』の中で、次のようにそのありさまを描写している。「子供たちの主たる運動場は街上(まちなか)である。・・・・子供は交通のことなどすこしも構わずに、その遊びに没頭する。かれわは歩行者や、車を引いたり人力夫や、重い荷物を担いだ運搬夫が、独楽を踏んだり、羽根つき遊びで羽根の飛ぶのを邪魔したり、紙鳶の糸をみだしたりしないために、すこしの迂り路はいとわないことを知っているのである。馬が疾駆して来ても子供たちは、騎馬者や馭者を絶望させうるような落ち着きをもって眺めていて、その遊びに没頭する」。

 

渡辺京二『逝きし世の面影』p.388

 

おわり。