名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

「ひろやす」と聞いて、名前だと思われる方が大半です。

読物つれづれ no.10 〜宮台真司『14歳からの社会学』〜

2017.10.31  【589日連続投稿】

 

 

読物つれづれとは、私が読んだ本の記録として、感想、気付き、印象に残った箇所を紹介したりするものです。

 

10冊目に読んだ本は、『14歳からの社会学』(著:宮台真司)です。

 

14歳からの社会学 ―これからの社会を生きる君に

 

宮台真司さんのことを知ったのは、『中学生からの愛の授業-学校では学べない、宮台真司が10代に本気で教えたいこと-』の中身を、名古屋市本陣で寺子屋塾をやられている井上淳之典さんがブログで書かれていたことがきっかけです。

 

『中学生からの愛の授業』を知り、同時に『14歳からの社会学』も知りました。同時に2冊を購入し、なんとなく『中学生からの愛の授業』のほうが内容がディープなイメージがあったので、『14歳からの社会学』から読むことにしました。

 

読み終わっても、社会学ってなんだだろう?と思います。

しかし、結局は自分にとって「社会」とは何?

自分にとって「幸せに生きるとは何?」

あなたはこれから「どう生きていくの?」

と考える時に、背景として見ておくべきことが社会学にはあるのではないかと思いました。

 

「社会」という大きそうで目に見えない概念は、人間の中で生まれています。

他の動物たちは「社会」という概念はおそらくないでしょう。(仲間や群れを社会と思っているかもしれませんが、そこから自分たちがどう生きるなんて考えるとは考えにくいですから。)

もっと言えば、概念を生んでいる人間を知ることが社会を知ることになると著者の宮台真司は思ってるんじゃないかと私は感じました。

 

何か制度を語るのではなく、人間を語っている本書は実に面白しく所々、自分の胸の響くものがありました。

 

あとがき ーーーいま〈世界〉にたたずんでいるかもしれな君に

 

 僕の娘は2歳になる。名前は「はびる」。僕の大好きな沖縄・与那国地方の方言で「蝶々」という意味だ。お腹にできる前から決めていた。オムツをかえたり、お風呂に入ったり、いっしょに遊んだり・・・・できるだけいっしょに過ごすようにしている。

 娘が14歳になったら、親として、ひとりの大人として、自分はどんなことを語るのだろうーー。そう考えながら、この本を書いた。できるだけ読みやすくするように心がけた、でも内容は深いはずだ。社会学の最先端の知識が、この本にはふんだんに盛りこまれている。

 今の時代、本当に先が読めない。たとえば20年前だったら、ずっと10年後を予測しやすかった。でも今の時点で、10年後の社会を予測するのは難しい。日本も、世界の国々もどうなっていくかわからない。

 ぼくたちは不幸になるといいたいんじゃない。本当に予測がつかないということだ。だから、何が起こってもあたふたしないように免疫をつけておいた方がいい。「こうなるはずだ」という思いこみで生きていくのは危険だ。それが外れたら、不幸になってしまうかもしれない。

 今僕たちが生きている社会は、どんどの変わっていく、だからその変化に対応して、個人も社会も計画を変えていかなきゃいけない。そして、計画を変えたとしても、またすぐに状況が変わる。絶えず計画を変え続けることが、とても大切になってきた。

 社会が完全じゃないから、人間は生きていけるし、社会も回っていく。常に前に進んでいける。完全になってしまったら、社会も人間もそこで止まってしまう。ぼくたちは、永久に不完全な存在だからこそ、永久に完全さを求めて前に進むことができる存在なんだ。それを忘れないでおこう。

 不完全な〈社会〉の中で生きている不完全なぼくたちは、〈世界〉に直接つながることで安らかな気持ちになれる。そのことも若い君に伝えたかった。〈世界〉は広い。ぼくたちは〈社会〉の中で生きながら、〈世界〉の中で生きている感覚を持つことが、大切なんだと思う。

 

宮台真司『14歳からの社会学』p.228~229

 

おわり。