2018.12.11 【990日連続投稿】
知性的・潜在的な潜在能力をどうやって開花させ、引き上げていくか、今の教育制度はこれをもっぱら利益誘導によって行おうとしています。成果を数値的に格付けし、格付け上位者には報酬を、会社には処罰を与えるという「人参と鞭」システムです。自己利益の増大を求める欲望と、処罰を恐れる恐怖心が人間を成長させると、この教育方法の推進者たちは信じています。それはずいぶん貧しい人間理解だと思います。
僕の経験が教えるのは、若者たちの能力が上がるのは、報酬や処罰によってではなく、「学びたいことを学び、やりたいことをやりなさい」と言ってくれる年長者の支援があるときです。ぼくは「大人の仕事」はそれだけで十分だと思う。
『僕の住まい論』著:内田樹