名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

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本日のつれづれ no.490 〜渡辺京二『逝きし世の面影』第7章-自由と身分-③〜

2017.08.02  【499日連続投稿】

 

 専制下における民衆の自由と満足というオールコック以下の所見には、実は先從があった。1820年から29年まで、出島オランダ商館に勤務したフィッセルが、1833年に出版した著作には、すでに次のように述べられていたのである。「日本人は完全な専制主義の下に生活しており、したがって何の幸福も満足も享受していないと普通想像されている。ところが私は彼ら日本人と交際してみて、まったく反対の現象を経験した。専制主義はこの国では、ただの名目だけであって実際には存在しない」。「自分たちの義務を遂行する日本人たちは、完全に自由であり独立的である。奴隷制度という言葉はまだ知られておらず、封建的奉仕という関係さえも報酬なしには行われない。勤勉な職人は高い尊敬を受けており、下層階級のものもほぼ満足している」。日本には、食べ物にこと欠くほどの貧乏人は存在しない・また上級者と下級者との間の関係は丁寧で温和であり、それを見れば、一般に満足と信頼が行きわたっていることを知ることができよう」。

 

渡辺京二『逝きし世の面影』p.275

 

おわり。