名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

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本日のつれづれ no.495 〜渡辺京二『逝きし世の面影』第7章 -自由と身分-④〜

2017.08.07  【504日連続投稿】

 

 チェンバレンもそれとそっくりのことを書いている。「原著者はこの国民と三◯年以上も個人的に交際し、日本人の礼儀は心底から生ずる礼儀であり、単に挨拶をして頭を下げたり微笑したりするものよりは深いものがあって、日本人の真の親切心に根ざすものであることを確信するに至った」と前置きしつつ、それでもこの礼儀正しい国民が西洋の規準に照らせば、礼法に背くことをすると彼は言う。「もっとも基本的で全般的な礼法違反は、召使やその他の下級者が目上の者に対する態度に表れている。・・・・諸君は料理人に羊肉を買いなさいと命ずる。彼はすぐに出かけて、牛肉を買ってくる。彼は牛肉のほうが安価であることを知っており、あなたの出費を少なくしようと考えているのである。事実、不服従が慣習になっている。それはわざと悪意を持ってする不服従ではない。主人がやるよりも自分のほうがもっと良く主人のためにやれるのだという、下級者がの側の根深い信念に基くものである」。なるほどこれなら、殿様が家臣団から祀りあげられたり、ときによって押込められたりもするはずだ。昭和前期の軍部の暴走を主導した佐官級幹部の「下克上」現象も、その淵源するところは深いと言わねばならない。

 

渡辺京二『逝きし世の面影』p.282

 

おわり。