2018.01.11 【660日連続投稿】
読物つれづれとは、私が読んだ本の記録として、感想・気付き・印象に残った箇所を紹介するものです。
12冊目は、『ひきこもれ』(著:吉本隆明)です。
価値を生み出すためには、絶対にひきこもらなくてはならないし、ひきこもる時間が多い人は、より多くの価値を増殖させていると言えます。
でも、コミュニケーションということで言えば、ぜんぜん駄目だということになるのでしょうね。「あいつは鬱陶しくてしょうがない」と言われるでしょう。
それでも、その人の内部では、豊かさが増えていっているわけです。他の人にはわかりにくいでしょうが、何かの時に、その豊かさが伝わるということがある。「よくよく話してみたら、このひとはいろいろなことをかんがえているんだな」と思ってくれる人も出てくるはずです。
ひきこもりの傾向のある人は、暗いとか話が盛り上がらないとか、あいつと一緒にいても気心が知れなくて面白くないとか、そんなことを言われているかもしれません。もし、それがコンプレックスになっている人がいたとしたら、それは決して悪いことではないのだということを覚えておいてください。
あなたは、明るくて社交的ではないかわりに、考えること、感じて自分で内密にふくらませていることに関しては、人より余計にやっているのです。それは、毎日毎日、価値を生んでいるということなのです。
吉本隆明『ひきこもれ』p.42~43
おわり。