2021.03.09 【1798日連続投稿】
人間は誰かに依存しないと生きていけない動物です。完全に一人になり、山奥に引きこもって、自給自足の生活を送る、というのは、ほとんどの人にはできないことです。たとえ山奥に引っ込んだとしても、その山の樹を伐採しないでいてくれる人に依存している、ということができるかもしれません。だとすると、誰にも依存しない、というのは不可能です。
ということは、依存する先をどんどん減らしていっても、全てを切ることはできないわけです。それゆえ最後に、どうしても切れない依存先が残ります。
もしその依存先から「そんなことをすると、お前をもう助けてやらないぞ」と言われると、絶対に言うことを聞かざるを得ません。たとえ露骨に言われないとしても、「この人に見捨てられたら、私はおしまいだな」と思ってしまいます。これはつまり、従属している、ということです。依存先をどんどん減らしていって、少数の他者に依存するという状態こそは、他者に従属している状態です。
このことから、次の命題が得られます。
【命題1-3】★依存する相手が減るとき、人はより従属する
これをちょっと言い換えて、
【命題1-4】★従属とは依存できないことだ
としても良いでしょう。
もしあなたが、人に助けてもらうことはいけないことであり、自分で何とかしなきゃ、と思って抱え込んでしまう人であるなら、その考えこそが、あなたを人に従属させている原因だとご理解ください。もちろん、何でもかんでも人に頼ろうとして、人が助けてくれないと、当たり散らすような人は、未熟なだけです。
しかし、自分が困っているときに、助けを求めることができないこともまた、未熟さの反映なのです。ですからこの場合、
【命題1-5】★助けてください、と言えたとき、あなたは自立している
ということになります。
『生きる技法』(著:安冨歩)p.25~27
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【本日の晩酌】
休肝日。
おわり。