本日のつれづれ no.576 〜宮台真司『14歳からの社会学』-人が内発的に作り出す社会-〜
2017.10.30 【588日連続投稿】
戦後の社会学の基礎を作ったパーソンズは、このホッブスの「性悪説」を否定した、つまり、人間は暴力をおそれるから秩序を営めるという考え方はよくないと考えた。人々が「内なる光」に従って生き、それが秩序形成につながるのが。よい社会だ、と考えたんだ。
パーソンズは、ホッブスの「性悪説」とロックの「性善説」を比較した。ロックという人は、人間には生まれつき社会性が宿っているとした。みんなと調和しながら生きていこうとするから社会がちゃんとするんだとした。パーソンズはこっちの方がいいと考えた。
「ただし」とパーソンズは考える。生まれつき「内なる光」が備わっている、などという「性善説」はバカげている。人間は育ち方次第でどうにでもなり得る存在だからだ。「ならば、人に『内なる光』をうめこめばいい」——。パーソンズはそれを「社会化」と呼んだ。
人には生まれつき「内なる光」が宿るのではない。せいぜいあとからうめこまれる。うめこむのは誰か。親や先生だと考えれば、同時代の教育哲学者デューイの考えと同じになる。パーソンズはそうは考えなかった。「内なる光」をうめこむものーーそれは社会だと考えた。
人は社会の中で育つ。社会の中には親や先生がいる。でもそれだけじゃない。都会的な環境も田舎的な環境もある。動植物とふれ合える環境もあれば、インターネットやビデオゲームにあふれた環境もある。親や先生をふくんだ「そんなこんな全体」が人を育てるんだ。
子供は学校で全てを学ぶわけじゃない。
だからこそ、学校でできること・伝えられることがあると思います。
社会という中の一部である学校が担う役割をもう一度見つめることが必要なのかもしれないな。
学校が、先生がもっと頑張る必要なんてどこにもない。
おわり。