2018.02.24 【704日連続投稿】
2月上旬にインタビューゲームの個人セッションを脇田麻衣子さんと行った際に、話題に上がった一冊の本がありました。
それがこちら『魔法をかける編集』(著:藤本智士)です。
インタビューゲームで言えば、相手を20分インタビューしたのちにメモを頼りにしながら、相手の自己紹介文をB6のカードの片面に書いていきます。これぞ、まさしく編集力が問われていると私は思っています。20分聞いたことをB6のカードに全て書くことはできません。その限られた表現スペースをいかに活用するかは、書く人に委ねられています。インタビューをやり始めた頃は、聞いた話を聞いた順番で書いていくことしかできませんでした。それは、この本に書いてあるような「編集」とは呼べたものではなかったんだと思います。最近は、全部書こうとしても無理だから情報をいかに抽出するかということを試みていますが、その判断や表現はなかなか一朝一夕に上達するものではないです。
この本の作者である藤本智士さんは「のんびり」という秋田で発行されているフリーマガジンの編集長を務められています。
その藤本さんがインタビューをした後の記事にまとめるときに気をつけていることが、インタビューゲームをやり始めたことの私とは180度異なり、今後の「編集」をする際のヒントになると感じました。
そういった現場の温度をそのまま伝えるために、気をつけないといけないのが、「まとめることの罠」です。
もちろん世界をそのまままるごと伝えられるはずなんてないわけで、だからこそ編集の出番なんですが、それをイコールまとめること、だと勘違いしてはいけません。
うまくまとまった!という満足感に満たされちゃうと、そこにはたしかにあったはずの現場の熱量が失われていたり、もともと伝えようとしていたことが伝わっていなかったりしていることに、気づかなくなるんです。
僕の経験で言うと、「うまくまとまった!」と思えば、いい部分八割消えてます。
とはいえ、尺の制約はつきものだから、そこに向き合うのなら、思い切って抜き出すのが一番です。
たとえば百あったものを、全体から薄く取り出して、こちらの言葉で十にまとめてしまうくらいなら、ありのままを十抜き出したほうが、読者は残りの九十を豊かに想像してくれます。そしてそれは、まとまったものよりも、かなり真実に近いように思います。
藤本智士『魔法をかける編集』p.144〜145
おわり。