名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

「ひろやす」と聞いて、名前だと思われる方が大半です。

no.2825 ~直感こそがエキスパートの肝~

2023.11.04 【2859日連続投稿】

 

欧米ではチェスを使った心理研究がさかんですが、この実験はその嚆矢といえるものでしょう。オランダのエイドリアン・デ・グルートという研究者は、ワールドチャンピオンクラスのチェスのプレイヤーと町のチェスクラブの常連(つまりアマチュアとしてはそれなりにハイレベルな人たち)という二郡に対して、自分が考えていることを声に出しながらプレーしてもらうという実験をしました。デ・グルートはその模様をビデオに収録し、プレイヤーの思考過程を分析したのですが、この実験の結果、驚くべきことにワールドチャンピオンクラスのプレイヤーと町のチェスクラブの常連とのあいだで、読みの深さ、つまり読んでいる手の数についてはほとんど差がないことがわかりました。

 

では何が違ったのか?

 

ワールドチャンピオンクラスのプレイヤーの場合、最終的に選んだ一番よい手が、読みの最初の数手の中に常に含まれていたのに対して、町のチェスクラブの常連たちの場合、たくさんの手を読んでも、最後まで一番よい手が含まれていないことがあったのです。チェスの実力の差は、緻密に手を読んでいくという思考の粘りにあるのではなく、直感的にスジのよい手を思い浮かべられるかどうか、という点にこそ現れるというのがデ・グルートの結論でした。

つまり、最終的には直感こそがエキスパートの重要な要件だということが確認されたのです。これは将棋でも同様のようで、大量の詰将棋の問題を、一問につき数秒という極端に短い時間で解いていくという脳科学の実験に参加された羽生善治さんは次のようにコメントしています。

 

詰将棋の場合は、短いのは特にそうなんですけど、ほとんど最終局面をイメージするかどうか、というところなんですね。作る場合も同じで、最後の局面をつくって、最初をどうするかというかたちで解いている人が多いような気がします。もちろん、最初から着実に考えていくという方法もあるんでしょうけど、実験の場では、そういう時間はないので”

 

外資系コンサルの知的生産術』(著:山口周)

 

後半は明日書いてコメントしようと思います。

 

おわり。