2017.07.06 【472日連続投稿】
十九世紀中葉、日本の地を初めて踏んだ欧米人が最初に抱いたのは、他の点はどうであろうと、この国民はたしかに満足しており幸福であるという印象だった。ときには辛辣な日本批判をしたオールコックでさえ、「日本人はいろいろな欠点を持っているとはいえ、幸福で気さくな、不満のない国民であるように思われる」と書いている。ペリーは第二回遠征のさいに下田に立ち寄り「人びとは幸福で満足そう」だと感じた。ペリーの四年後に下田を訪れたオズボーンには、街を壊滅させた大津波のあとにもかかわらず、再建された下田の住民の「誰もがいかなる人びとがそうでありうるよりも、幸せで煩いから解放されているように見えた」。
渡辺京二『逝きし世の面影』 p.74
江戸時代といえば、「士農工商」と言われる身分制度の時代であったはずという印象が中学高校の日本史の授業では学んだ記憶があります。無事が一番偉い世の中であり、身分制度があったと聞くとどうも「下の身分は辛い暮らしや苦しさを感じて生きたのだろう」と連想してしまっていた自分がいました。しかし、本書は多くの外国人が「日本人は幸福そうに見えた」と証言していると記しています。その幸福そうだったのは、果たして武士のみのことを言っているのか、それとも農民なども含んで言っているのか、どうなのだろう。
明日以降に、迫っていこうと思います。
おわり。