本日のつれづれ no.726 〜普通は普通ではないってこと 〜
2018.04.14 【754日連続投稿】
なるほど、一つ一つの単語についてじっくりと考えたりしない日常的な話し言葉では、誰でも「普通の世界」とか、「普通の生活」、「ものごとの普通の流れ」といった言い方をします。しかし、一語一語の重みが量られる詩の言葉では、もはや平凡なもの、普通のものなど何もありません。どんな石だって、その上に浮かぶどんな雲だって。どんな昼であっても、その後に来るどんな夜であっても。そして、とりわけ、この世界の中に存在するということ、誰のものでもないその存在も。そのどれ一つ取っても、普通ではないのです。
ヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』「ノーベル文学賞記念講演会」より 沼野充義訳
おわり。