2020.03.02 【1438日連続投稿】
「編集」が今年に入って、かなり気になっているキーワードです。
そこで、勧めていただいた本がこちら。
著:松岡正剛
『知の編集術』
本書でつかう「編集」という言葉はとても大きな範囲に使われています。
ふつうは、新聞や雑誌や映像の編集者がしている仕事を「編集」というのですが、ここではそういう狭い見方をしていません。編集をうんと広くとらえている。
どう広いかというと、人間が言葉や図形や動作をおぼえ、それらをつかって意味を組み立て、人々とコミュニケーションをすること、その全てに編集方法が色々いきているとみなします。だからふだんの会話にも編集があるし、学問にも編集が動いているし、芸能や料理もスポーツも編集されているというふうに見るわけです。
ただし、そのような編集の方法はふだんは自覚されていないことが多い。われわれは歴史が培ってきた編集の成果に甘んじていて、それを享受するばかりになってしまっているからでしょう。それはそれで便利なのですから、そうやって生活していたり仕事をしていてもかまわないのですが、けれども、いったん何かことがおきると、そうもいっていられません。
〜中略〜
たとえば、海外旅行。旅行代理店にいっさいをまかせるならともかく、友達と一緒にパリやニューヨークに初めて行くとなると、いろいろ情報を集め、現地の事情をしらべ、コースを組み立て、時間割から費用配分まで自分たちでやってみることになります。そうすると、だいたいのことがアタマに入ります。これが「編集」なのです。そしてケネディ空港に降り立ったときから、一人ずつの生きた編集が始まっています。
松岡正剛『知の編集術』p.4〜6
おわり。