名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

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本日のつれづれ no.546 〜渡辺京二『逝きし世の面影』第14章-心の垣根-④〜

2017.09.28  【556日連続投稿】

 

 人びとを隔てる心の垣根は低かった。彼らは陽気でひとなつこくわだかまりがなかった。モースが言っている。「下層民が特に過度に機嫌がいいのは驚く程である。一例として、人力車夫が、支払われた賃銀を足りぬと信じる理由をもって、若干の銭を更に要求する時、彼らはほがらかに微笑し哄笑する。荒々しく拒絶した所で何等の変わりはない、彼は依然として微笑しつつ、親切そうにニタリとして引きさがる」。その事実にはすでに一八一〇年代に、ゴローヴニンが蝦夷の獄舎で気づいていた。「日本人は至って快活な気風を持っている。私は親しい日本人たちが暗い顔をしているのを見たことは一度もない。彼らは面白い話がすきで、よく冗談をいう。労働者は何かする時には必ず歌う。またたとえば艪をこぐとか、重い荷物をあげるとか云ったような歌の調子に乗る仕事なら、皆が歌うのである」。

 

渡辺京二『逝きし世の面影』p.563

 

おわり。