名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

「ひろやす」と聞いて、名前だと思われる方が大半です。

no.2706 ~職場は学校ではなく、相互作用で学ぶ場所~

2023.06.28 【2740日連続投稿】

 

昨日、は山口周さんの著書「仕事選びのアートとサイエンス 不確実な時代の転職探し」からリアリティ・ショックについて、書きました。

 

リアリティ・ショックについて、「?」が浮かんだ方は是非昨日の記事から読んでみてください。

 

hiro22yasu13.hatenablog.com

 

さて、今日はどのようにしてこのリアリティ・ショックを乗り越えるか?対応するか?について触れていきたいと思います。

 

ポイントの1つが「イニシエーション(通過儀礼)」であることを認識てしておくということです。

広告会社での最初の仕事は、私鉄系スーパーの大売り出しのチラシ作成や、単なる資料集めだったりするし、コンサルティング会社での最初の仕事は、高層ビルの地下最下層にある集配センターで、統計分析用の配送伝票1年分をかき集め、それを徹夜でエクセルに入力する作業だったりするわけです。

 

しかし、こういった作業は必ずしも無駄ではありません。民俗学の世界で言う「イニシエーション=通過儀礼」の一種と考えるべきなのです。一番分かりやすい料理人の世界の事例で説明しましょう。

料理人の世界に入って来る人で「皿洗いが死ぬほど好きだ」とか「床掃除をするとドキドキする」という人はあまりいません。皆、早く包丁を握って板場に立ち、お客様に出す料理を作りたいと思っています。

 

しかし、当初は料理を作ることはおろか、包丁を握らせてもらえることすらありません。和食の料理人の世界には「追い回し」と呼ばれる風習があるからです。

追い回しとは、師匠や先輩から雑用ばかり頼まれ、追い回されることからそう呼ばれます。追い回し期間は、包丁を握らせてもらえることはありません。急に必要になった食材を買いに行くとか、食器洗いや店前の掃除など、いわゆる雑用ばかりさせられるのです。そんな雑用ばかりやっていたのでは、いつまで経っても料理の腕は上達しないのではないか、と思うかもしれませんが、実は雑用の効用というものがあるのです。

 

カルフォルニア大学の人類学者ジーン・レイヴとエティエンヌ・ウェンガーは背広の仕立屋での徒弟制度の参与観察に基づいて、新人が職場に入って様々なことを学んでいく様子を「正統的周辺参加」という言葉で説明しています。

 

正統的周辺参加とは、正統的、つまり一人前の職場のメンバーとして、周辺、つまりコアの仕事ではない領域から参加することを通じて、コア領域の仕事に必要な知識を少しずつ学習していく、という考え方です。

正統的周辺参加という考え方では、職場における学習は学校教育でのそれとは異なり、一方的に教える→学ぶというものではありません。職場での教育は、活動をしながら職場や仕事の価値や規範も同時に学んでいくような、自身と職場の環境との相互作用によって達成されるものと考えられています。

 

『仕事選びのアートとサイエンス 不確実時代の転職探し』(著:山口周)p223~225

 

この一節を読んでみて、やはり仕事の習熟度を高めようと思ったら、いきなりコアな部分は同じ業種かつ職種経験がある場合でもいきなり入社初日から行わせることも想像がしずらいように、段階を得て進める考え方がベースにある企業や職場が多いのだろうなと感じました。

 

そして、大切なのは、このプロセスで進んでいくことを説明しつつ、本人の意見や声をしっかり聴きながら、会社も社員も一緒に成長していくのが、弊社のような従業員10人ちょいの会社はいいのかなと、個人的には思いました。

 

おわり。