名前?苗字? ひろやすの生き様ブログ

「ひろやす」と聞いて、名前だと思われる方が大半です。

no.2764 ~高次脳機能障害とソマティック・マーカー仮説~

2023.09.04 【2798日連続投稿】

 

読書をしているとひょんなとことで、本書が言いたいこと以外の学びをすることがある。

 

現在、読み進めている『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(著:山口周)を読んでいる中で、私が働いている分野について触れる一節があった。

 

 本書ではこれまで、意思決定における「論理と直感」「理性と感性」のバランスが重要だということを指摘してきましたが、同様のことを脳科学の知見から指摘しているのが、脳神経学者のアントニオ・ダマシオです。

 マダシオは、数理や言語といった「論理的で理性的」な脳機能が全く損傷されていないにもかかわらず、社会的な意思決定の能力を破滅的に欠いた患者を神経生理学者として数多くの観察し、適時・適正な意思決定には理性と情動の両方が必要であるとする仮説、いわゆるソマティック・マーカー仮説を唱えました。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(著:山口周)p.154

 

本書では明確に明言はしていませんが脳機能が損傷されていないが社会的な意思決定能力が欠いた状況とは、脳腫瘍の手術後の後遺症や脳卒中の後遺症の患者であり、高次脳機能障害と違わなくないなというのが、私が読んで思った印象で、おそらく医療・福祉に関わる方からも大きく間違ってはいないと思っていただけると思います。

 

高次脳機能障害の方の中には、記憶の欠如が著しい方もいれば、半身まひになる方もいますが、性格が大きく変わってしまうことがあったり、無反応といった症状が起きることがあります。

算数や漢字などはできるが、判断が適切ではないと言った症状が起きるケースも私は目にしてきたのですが、本書では脳の障害だけで片づけず、「ある傾向」がある方が著しく判断力が低下していると言われていました。

 

その「ある傾向」とは、「極端な感受性や情動の減退」というのです。

脳の判断機能の低下で片づけるのではなく、この考察は「そうも考えられるのか?!」とハッとさせられました。

 

実際に私の経験からもこの考察は「たしかに、間違ってはないかもしれない」と思いました。

 

だからこうやって対処した方がいいとかまでは言及されていませんでしたが、「感受性の度合いは大きなアセスメントのポイントに今後なるかもしれない」と思わされました。

 

おわり。